おもち作品 計70枚

































































※飼い実装のいる飼い主の視点からみた作品のようです
「あの仔はいい仔デス。妹たちをよく世話し、ママを助けたりもしたデス。」「歌も踊りも一生懸命練習し、愛嬌もあるデス。人間さんも必ず喜ぶはずデス。」
リンガルに表示されるのは誉め言葉。口数も多くかなり賢いタイプだ。一方、公園では別れが終わったようで親がゆっくりと歩き始めた。妹たちは涙を流しながら長女を見送っていた。

公園を見ていたミドリが声を出した。見たら親がトボトボ戻ってくる。
「ふっ」予想通りの結果と格好悪い姿に私は思わず笑ってしまった。完全に禿裸で頭には立派なコブができた親。そして右手には長女の…死体…?悪い……
「デ、デ…デエエン、デエエエエン…!!」
ミドリは以前に些細な過ちで自分の子供を殺してしまい、強烈なトラウマによって妊娠もできなくなった。野良実装の長女のひどい姿を見て自分の娘のように思って泣き叫ぶ。このように泣くのは珍しいことではない。
「デエエ…デベッ!」
ミドリに水平チョップを与えて気絶させる。これをすれば必ずパンコンするがこういう時は仕方がない。放っておくと偽石がストレスを受けて危険だ。
「軽率だった……とにかく、こうしていると私が虐待派みたいじゃないか」
窓の外はすでに暗くなり始めた。

偽石センサーもNASAの技術を応用した業務用センサーを使用、健康状態と気分、行動や紛争度などをひとつひとつチェック。争いやパンコンなどのアラーム機能も充実。
改良されたリンガルソート機能で特定の実装石をフィルタリングして表示しながら、録画された映像と同期して再生が可能になりました。ネットワーク機能も新たに対応、外部から環境制御や映像公開も可能です。(ネットワーク制御には専門的な知識が必要な場合があります。)

朝に家を出たらまた玄関の前で実装石が死んでいた。倒れた親の隣で仔が座り込んで力なく泣いている。「渡り」の途中だったのだろうか。本当に泣きたいのはこっちだ。


ドライブの途中に立ち寄った駅の子供用便器で実装石が入浴していた。子供がここで用を足したあと水が流れ始めてはすぐに便器に入って入浴することを繰り返しているようだった。足で排水口を塞ぎ、便器に用を足して流れた水が溢れ出ていた。
裸の人のような物体が便器の中で夢中になっているだけでもかなり気分が酷くなる。水が滴って体に張り付く長い髪は無駄に妖艶で、注目されているのが快感なのか、たまに周りを見渡して周囲の反応を見る不気味な姿に私は素早く退散した。
(ますます綺麗になってしまうデッスン♪)(多くの人間が悩ましく見惚れているデス♪)(人間さんのハートを傷つけることなくお断りするにはどうすればいいデスウ…?)
そのあとすぐ、その実装石は禿裸にされて追い出されたという。
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