話くらいは聞くぞ

公園を徘徊していたら親蟲が仔蟲を掲げて近づいてきた
たまには話を聞いてやるくらいいいか
『ニンゲンサン、お願いがあるデスゥ!この仔を飼ってあげて欲しいデスゥ!』『ワタシだけでは他の仔達の面倒を見ながら冬を超すのはムリデスゥ~…』『この仔は特別賢い仔なんデッス!ニンゲンサンも気に入ると思うデス!』『ほら三女、アレをやるデス!』
『テッチュゥ~ン』
うーん…

「なんかムカつく顔してるし、最悪の媚びポーズなんで失格」
そう言うと俺は仔を狙ってツバを吐いてやった
見事に顔面ヒット、アハハ!バカ面にマヌケ面がくっついたみたいになってやがる
親蟲は本気で託児の直談判をしていたようで無様な泣き声を上げている
仔蟲はバカにされた事に気づいたようで腹立たしそうな顔をしている
「そういう訳で話は聞いたが答えはNoだバカ蟲共~、頑張って冬越せな~」
俺はひらひらと手を振って公園を後にした






