バイト先より帰宅した俺はようやく自宅に着く
手には土産の入った袋を提げて…
暗い玄関に灯りを点すと
部屋の置くからのそのそ歩きのピンク色の服を着た成体実装石と
レフレフと這いずる頭に花飾りをつけた蛆実装が出てくる
俺のかわいい飼い実装
成体実装のデスゥメラルダ2号と蛆実装のデスゥメラルダ3号だ
俺は何か期待する眼差しの二匹に声をかける
「お土産の天津甘蛆買ってきたぞー」
二匹の顔がぱあっと明るくなり、首に下げた翻訳リンガルから
二匹の歓喜の声が聞こえる
「アマウジ!アマウジオイシイデス!」
「アマアマ大好きレフー♪」
俺は二匹に土産を与えるべくリビングで袋を開くと
コンビニ袋の中で赤緑のテラテラした光が反射するのに気づいた
「テッチューン」
中には見慣れぬ薄汚い仔実装と緑色の糞
そして食べ散らかされた天津甘蛆の残骸
託児食らったー!?
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さて、託児食らったコンビニ袋はいったん脇に寄せておいて
こんなこともあろうかと、安心のローゼン印の便利アイテム
「託児安心スプレー」というのを購入しておいたのだが
さっそく説明書を開いてみようと思う
{本製品は野良実装石被害を防止するための商品であり
目的外の用途で使用された場合の〜 }
あーはいはい、変なことに使われないための予防線ね
そういうのいいから…
{製品の使用法
・付属の霧吹きに専用の液と、託児された実装石の糞を混ぜ
あなたが通った道に散布してください
十字路などで使うとより効果があります
= = = = = = = = = = = = = =
・実装石は臭いで固体の識別を行う個体が多いため
溶液の効果で実装石の嗅覚を狂わせ、固体識別機能を破壊
自宅への追跡を防ぎます }
まずは託児された仔の実装糞が必要なのか
それを中の溶液に混ぜてスプレーする薬を作るようだ
あまり匂いがたっては大変だな…
変な薬品を撒いていたなんて噂が立ったら大変だ
俺はまず、成体実装のデスゥメラルダ二号と蛆実装の三号の暮らす水槽に向かうと
そのトイレから実装糞を少し取ってみる
少しだけ液を作り、ためしにトイレに向かってスプレーしてみた
うえ、ほんのり実装糞臭…
だが、まあデスゥメラルダ二号がトイレ使ったあとはもっと酷い臭いだし
これくらいならそうそう問題もないだろう
部屋の中に広まる実装臭に換気扇をつけつつ
俺は支度を整えて家を出た
「テチョチューン♪」
袋の中の仔実装が媚びポーズを取っているが気にしない
というか、こいつはこいつでどうにかしないとまずいので持ち出す
家の中を汚されちゃ溜まらんし
「二号、三号!留守番頼むぞ!」
「デスー!」「レフー!」
俺はデスゥメラルダ二号と三号に声をかけるとぱっと飛び出した
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俺はとにかく走って家の最寄りの小さな十字路に向かった
説明書によると、親実装が家に着くまでに使わなければいけないのだ
そうだ、十字路に着く前に臭いの発生源を何とかしなくては
俺は用済みになった仔実装の入った買い物袋を手近な排水溝にシュート!超エキサイティン!
「テチェー… ポチャン
遠ざかる悲鳴がドップラー効果を産み出し
袋が排水に沈む音がえもいわれぬハーモニーを産み出すがそこは割愛
さて、十字路に着いたが、ここに来るまでに実装石とすれ違わなかったので
まだ親実装はここまで辿り着いていないようだ
すぐに霧吹きを地面に向かってシュシュシュ、と吹いてみる
幸い風もなく、そう臭いも広がらずに済んだ
せっかくなので俺は電柱の陰に隠れて様子を見ることにした
初めて使う怪しいグッズなので、効果を自分の目で確かめたかった…
というのは建前で、やはり興味本位であるw
遠くから緑色の塊がデェッス、デェッスと息を切らして走ってくるのが見える
「デデェッ!?」
臭いをたどってきた親実装は十字路に差し掛かると
ぴたっと立ち止まった
いやらしい笑顔もどこへやら、焦った表情で地面にはいつくばり
必死で臭いをたどろうとする
よつんばいでしばらく、あっちへうろうろ、こっちへうろうろと
這いずり回っていたが、しばらくして諦めたのか
肩を落として元来た道へ帰ろうとする の だが …
「デ?」
元来た道へ戻ろうとして、ぴたりと足を止める実装石
恐る恐ると、足元の臭いを嗅いでは首をかしげる
ふっと思い直したのか、別の辻へ回って臭いを嗅ぐが
やはりしっくり来ないらしく別の辻へ…
どうやら親実装は完全に臭いがわからなくなってしまったらしく
どうやってここにきたものか、帰り道もわからなくなったようだ
なるほど、よく禿裸リリースと聞くが、禿裸にされた実装石は
ああやって来た道を逆に臭いをたどって帰っていたのか
俺は一通り見届けると、焦る親実装を尻目に帰ることにした
行き場がなくなった実装石は何するか分からないもんな
俺は迷う親実装を尻目に帰路に着いた
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帰宅すると、なにやら不機嫌そうなデスゥメラルダ二号が玄関に仁王立ちして待っていた
「ゴシュジンサマ、アマウジ!」
あっ、しまった、甘蛆はさっき託児仔にだめにされたんだっけ
「このアマウジ、ちっとも甘くないデッスン!マズいマズいデスー!」
デスゥメラルダ二号がぺすぺすと地団太を踏む
「え、甘蛆、何?」
俺はとっさに聞き返した
甘蛆?甘蛆は託児仔にだめにされたから
袋ごと排水溝に捨てたはずだけど…
デスゥメラルダ二号が何かをぽいと俺に向かって投げる
何かがこつんと音を立てて俺の脚に当たった
それは頭に花飾りをつけた、蛆実装の頭だった