ある布生地屋の仕事風景

※パート1~3のデータがインターネット上で見つけることができませんでしたので、パート4~6のデータを掲載しています。

先日こしらえた生地が頃合だったので、私は作業を進めることにした。
冷えて固まった生地の端を棒に絡め、丁寧に巻き取っていく。巻き取りながら、ゴミやホコリが付いてないかも慎重に確認する。そうして大きなひとかたまりとなったものが、完成した実装布となるのだ。この実装布、ただ丈夫で長持ちなだけではない。少々の傷や破れなら、しばらく着ているだけで自然と元に戻る。(着ていないと戻らないので、私は偽石の力だと思っている)それゆえ、多くの人々に普段着の素材として愛用されているのだ。一通り布を巻き終わった私は、最後の一つに目をやった。「デーーワタシだけでも見逃して欲しいデスーー」「ヂィーー!!早く助けろテチ!!クソ人間!!あとお風呂とディナーもさっさと用意するテチィ!!」「レェェン、お服、脱げちゃったレフー」「……レ……フ……」どこからか野良実装石の親子が侵入し、まだ固まっていない布に絡め取られたようだ。「はぁ……。被害が1つで済んだのは不幸中の幸いか……。……今晩は何を作ろうかなぁ」そう呟きながら、よりいっそう暴れだした食材達に私は手を伸ばすのだった。


ここは、蛆ちゃん達の楽園レフ。
ご飯はいつもお腹いっぱいに食べられて、オヤツも毎日食べさせてくれるレフ。ママはいないけれど、優しいご主人様が居てくれるレフ。毎日、蛆ちゃん達のお腹を、いっぱい、い~っぱいプニプニしてくれるレフ。怖いオネェチャや、痛いことするオバチャはどこにも居なくて、優しい蛆ちゃんのお友達でいっぱいレフ。こんな幸せな蛆ちゃん。こんなに幸せいっぱいにしてくれるご主人様。いつか、大きくなったら、ご主人様のお役に立ちたいレフ。あ……お月様レフ。……綺麗……レフ。いつか……あのお月様が……まん丸に……変わったなら……。……きっと……蛆ちゃんも……変われる…………レフ……。どうか……その時まで…………もう少しだけ……、ご主人様……待っていて……ください……レ……フ…………。…………レフゥ…………レフゥ…………。


ある朝の事。蛆実装達がよりそって動かなくなっていた。
「でぇぇ……。寒さでみんな死んでやがるですぅ……」ある昼の事。どこからか進入した実装親子が居た。「……もう……食べられないデスゥ……」「チププ……ワタチは強いテチィ!!」ある夕の事。蛆実装の一匹が食事中だった。「こいつの肉は柔らかいレフ~たまらんレフ~♪」「ここは地獄レフゥゥ~~~」『パキン』『パキン』『パキン』「パキン連鎖しやがったですぅ……」私は対策として、周りにトラップを仕掛け、一斉死を避けるために少数に区切り、糞虫は可能な限り素早く除去した。「レフゥ!!蛆ちゃんの食事の邪魔をするなレフ!!」「はいはい、後で泳ぎに行って、たらふく喰わせてやるですよ」また、毎日昼前に窓の目隠しを一旦降ろして暗くし、昼が過ぎた頃に再び部屋を明るくした。蛆実装達の大半は、暗いと眠り始め、明るいと起きる。こうすることで蛆実装達の成長を早められるのだ。そして部屋が暗い間は、天然の輝石を削りだして作ったお月さんを天井から吊るす事にしている。これを吊るすことで、ちょっぴり成功率が上がる気がするからだ。そんな試行錯誤の毎日だった。