冬の朝

朝晩の冷え込みが強まって来た秋の終りの今日この頃
野良実装石達にとっては厳しい日々の始まりを告げる
身なりが綺麗な野良実装石の親仔を拾って飼い始めた
温かい部屋・清潔なダンボール箱の中・美味しい食事
このように実装石達に幸せな日々を過ごさせてやった
実装石達は「デス♪」「テッチュン♪」と楽しそうだ
そして初冬を迎えて初雪が舞い始めた日がやってきた
実装石が寒くないようにダンボール箱に断熱材を貼り
夜は使い捨てカイロを入れ暖かく過ごせるにしてやる
そして雪が降り続く今夜でも実装石達は深く寝ている
ダンボール箱に貼った断熱材を静かにそっと剥がして
少し離れた所にある公園へ暖房の効いた車で移動する
実装石達は翌朝早朝を迎える前には使い捨てカイロが
切れる時間までまではぐっすりと眠っている事だろう
公園に段ボール箱をそっと置いた上カメラを設置した

温かい車の中で観察しながら夜明けを待つことにする
早朝の冷え込みはこの冬一番の氷点下15度となった
すっかりと使い捨てカイロの使用時間も切れてしまい
盆地にある公園は明け方に輻射熱で冷え込みが激しく
熱源を失ったダンボール箱の中は一気に気温が下がる
実装石達はいきなり予想外の寒さでガタガタと震えた
ダンボール箱から外を見ると雪の積もった公園である
実装石達は自分の身に一体何が起きたか理解出来ない
パニックのあまり「テチャアアア!!」と叫びながら
仔実装が段ボール箱から雪の公園に飛び出して行った
当然だがすぐ雪に埋もれてしまい「テェェ・・」と
弱々しく鳴きながら動きが止まり意識が遠のいて行く
その様子を見た姉妹達のパニックは更に加速していく
もちろん親実装も突然の出来事にパニック状態となる
更に数日前からダイエットと称して投餌も控えていた

当然だが空腹の状態で凍る寒さはさぞこたえるだろう
程なくして親実装が寒さと空腹に耐えきれなくなって
目の前に居た仔実装をムンズと掴み頭から齧り始めた
仔実装は「テッチャァァ!!」と叫びながら身を捩る
しかし力の差は如何ともしがたく親実装の腹に収まる
盆地の冷え込みは容赦なく親実装の体温を奪って行く
ましてや仔実装の血を体に浴びていて余計に冷え込む
ついに親実装も寒さに負けて動かなくなってしまった
その後朝日がさす頃ダンボール箱の様子を見に行った
絶望の表情のまま凍りついた親実装が横たわっている
食べられるのを避けられた仔実装がうずくまったまま
4匹ばかり抱き合ったまま凍りついていて微笑ましい
だがこのままにしておいても凍っているのが溶けたら
また復活しても寒いままだと苦しむは想像に難くない

公園の脇に焚き火をする一斗缶があったので枯れ葉と
実装石達を入れその上から灯油をかけ焼却処分とした
しばらくすると熱で凍っていたのが溶けて来たようで
先に溶けた仔実装達が「ヂャァァァ!」と叫び始めた
そして「デギャァァァ!」と叫びが聞こえて一斗缶が
ポフンポフン!と中から叩く音が聞こえて来る頃には
仔実装達の叫び声はもうすでに聞こえなくなっていた
そしてカメラを回収し家で撮れた映像を確認するのだ
結果ダンボール箱内の出来事であるためわかりづらく
また一斗缶で焼却している中身が見えるわけでもない
面白い虐待動画が撮れると期待したが面白くなかった
またイラつくのを我慢して飼うのも正直しんどかった
結論は自分は虐待に向いていないと悟っただけだった