玩具改造~ドンケツ~

高齢な…もとい、賢明なとしあきなら覚えているだろうか
シンプルながら我々を熱くさせてくれた“ドンケツゲーム”というものを…
背中を向け合った人形をレバーで操作すると尻を突き出す動作をする
そしてお互いに尻をぶつけ合い、前方に倒れた方が負けというルールである
このドンケツゲームの人形を実装石に見立てた実装石バージョンというのも存在するが
俺はこれを人形の代わりに仔実装を使えるよう改造し、実際に実装石に競わせることにした
とりあえず適当に公園に行って、野良の親仔を二組スカウト
ゲームの内容とルール、そして勝った方には賞品として駄菓子を与えることを伝える
もちろん賞品欲しさにどちらもゲームに乗ってきた
ではお互いの仔実装を一匹、背中を向き合わせてセットしてゲーム開始だ!


「テッ!テチッ!」「テェェ!テチャァ!」
人形の代わりにセットされているのが生きた仔実装なのでレバー操作は必要ない
お互いにプリプリと小さな尻を突き出し、懸命にぶつけようとする2匹の仔実装
足を固定されているので上手くバランスがとれず、攻撃は空を切ることも多く
まるで尻文字でも書いているようにも見えるが、これでも仔実装は必死なのだ
「デェッ!デデ!?」「デッデデッ!デシャァッ!!」
見守る親実装たちもなかなかのヒートアップ
片方は地団駄を踏みながら応援し、もう片方は地面をバンバン叩きながら発破をかけている
さながら昭和時代の競馬場のおっさんのようだ
昭和に生まれたゲームにはなかなかお似合いの光景かも知れない
などと考えているうちに決着のときが訪れた
息の上がった片方の仔実装が、膝に手をついて休もうと前屈みのまま動きを止めた瞬間
もう片方の突き出した尻が直撃した


「テ…ェェェェ?テ、テ、テ…テピャッ!!」
本来このゲームにセットされている人形なら床や地面にぶつかることは無いが
足だけを固定されている仔実装は、地面とキスする羽目になり悲鳴を上げた
「デギャアアアス!?」「デースデスデス!デプププ♪」
勝者には約束どおりに賞品として『うま○棒』を親と仔に一本ずつ贈呈
敗者となった親が何か訴えてくるので、スマホの翻訳アプリを起動
《別の仔が住処で待ってるデス。つれてくるから待ってろデス!》とのことだ
ふと気がつけばさっき負けた仔実装は制裁として親に踏み潰されたのか
いつの間にやら地面で赤黒いシミと成り果てていた
こうやって互いに勝ち負けを繰り返しに連戦していき、片方の仔実装が尽きたところでゲームは終了した
「デェエ~ン…、デェェェン」
結局1度しか勝てず仔実装をすべて失った方の親実装は悲嘆に暮れた声を上げ
泣きながらとぼとぼと帰っていった


一方、たんまりと駄菓子を稼いだ親仔はというと
《かえしてテチ!ワタチがんばったテチー!》
《ワタシが応援したから勝ったんデス!ぜんぶワタシがもらうのが当然デスゥ~ン》
とまぁ、こちらはこちらで駄菓子をめぐって家庭崩壊のご様子
俺が片付けを終え帰ろうとする頃には
「デジャアアアッ!!」
「チュベブッ!?」
と結局は仔実装が地面のシミとなることで決着となったようだ
こっちの親実装は仔が2匹しかいないと言っていたような気もしたが、当人が満足そうならヨシ!
独占した駄菓子を満面の笑みで貪り食う実装石に背を向け
次はどんなおもちゃを改造しようかと考えながら、俺は公園をあとにした


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